★Mr.tsubaking写真展「野良イス」★
2019/4/26-5/12 at EUROPEANPAPA
今回の写真展は展示を通して
忘れていた日常に気づかされた、
意義深いものだった
まず“野良イス”という、
忘れさられた日用家具を題材に、
街の中で第二の「イス生」を送るイスたちを通して、
今の日本、あるいは日本人が持ち続ける
生活の匂いをそれぞれの写真が写し出している点だ
さらに“野良イス”を
@元々屋内用のイスである
A捨てられているわけではない
B店などに属していない
と定義することで風景の見え方が違ってくるし、
そこには現在の姿と、
かつて家族の団欒を支えた姿がよみがえり、
郷愁が込み上げ、一葉の写真が物語を生み、
それぞれの人生をも顧みる機会を与えてくれる
しかし一方では無用なもの、
粗大ゴミとして片付けられ、
そのイス生は違法行為として撤去の対象でもある現実を
突きつけられる
しかし、tsubaking氏は定義の中で
“野良イス”と捨てイスを区別して
その意義を見出そうと試みているが、
それは曖昧で虚無感を伴う悲しい末路が浮かぶ
合理性と利益主義が優勢され、
無駄が省かれる世の中がいい世の中なのか?
その悲しみにはそんな疑問も突きつけられる社会風刺が
さり気なく込められている気がする
“野良イス”を通した街の風景と
かつて愛した自分の記憶が
いつまでも心に残る写真展であった
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