ベルヴェットアンダーグラウンド専門レーベルからの第8弾は、Ultimate Stereo Albumと題された、未だ公式には未CD化のトラックと、ファースト、セカンド、サード、そしてアルバム「VU」の別ミックスを一同に集結させたコレクター泣かせの一枚。
マニアの間で、これは聴くべきとされる別ミックスと、散在する公式アルバム/編集盤未収録のトラックはこれ一枚で全て聴く事が出来ます。
それだけでなく、幻のサードアルバムのオルタネイトルーリードバージョンや、VUのアドバンスカセットバージョンなど、世界でも極めて珍しい音源をオリジナルマスターから収録しており、ハードコアコレクターにとっても十分に価値のある作品に仕上がっています。
ディスク1 ファーストアルバム(The Velvet Underground &Nico) まずはファンの間でも極めて音質に定評が高く、全くのオリジナルマスターより特殊なリマスタリングにてCD化されたにも関わらず、現在入手困難であるモービルフィデリティ盤のファーストアルバムを収録。
ファーストアルバムはアナログを含めると矢張りオリジナルのモノLPが最高と言われていますが、CDバージョンの中ではこれが最も音が良い上、ミックスさえ違って聴こえるほどの名音源であると言われています。
加え、ファーストアルバム近辺の全てのレアトラックを収録。
まずはアンディーウォーホルの初めての画集に付録として付いたソノシートより「Untitled(通称、Index)を収録。
これはファクトリーの面々がアンデイのこの本についての賛辞を送っている会話が収録されているのですが、ニコがビートルズの「Good Morning Good Morning」をおふざけで歌うなど楽しい内容。
音源の性質からいって今後も公式CD化されることはないであろう音源です。
続いて60年代のサイケレーベル「ESP」のコンピレイションに収録された、ヴェルヴェットのEPIからの録音。その名も「Noise」。
これもまさにノイズトラックであるため公式発売はないでしょう。
本作にはオリジナルのLPに収録されたロングバージョンと、ESPディスクから92年にリリースされた再発CDのショートバージョンの両方を収録しています。
最後に60年代のアートマガジン「アスペン」に収録されたヴェルヴェット名義のソノシートから「LOOP」。
これはヴェルヴェット名義でありながら、ジョンケイルが一人でベースのみで録音したもので、ノイジーで破壊力あふれるトラック。こちらもオリジナルのソノシートを使用し、オリジナルのエンドレスソノシートの特性を生かしてCD収録限界までのヴァージョンで収録。
ディスク2 セカンドアルバム(White Light/White Heat) まずはディスク1同様、モービルフィデリティバージョンのセカンドアルバムを収録。
オリジナルアルバムからの録音状態が特殊なこのホワイトライトホワイトヒートに取って、マスターからハーフスピードでリマスタリングしたこのモービルヴァージョンは革命的な音質を齎し、やはりモノを除いてはこのヴァージョンが素晴らしいと特筆されているものです。
オリジナルステレオミックスでは消えてしまうドラムフレーズなど繊細な音も聴く事が出来る名録音です。
そしてセカンドの追加トラックは、通称「スワンカヴァー」と言われる1973年のMGMからのコンピレイション盤に収録された、セカンドアルバムからの別ミックスによる「シスターレイ」と「レディゴディバオペレーション」を収録。
これは全くの別ミックスで、通常右チャンネルに配置されているモーリンのドラムが左チャンネルに振られているなど、一聴しての違いが解ります。
この定位の違いもあってか、このミックスは大変リズミックなミックスとなっており、また違った雰囲気のシスターレイが楽しめます。
オリジナルからの収録としては初めてのCD化です。
やはり今後も公式でリリースされる見込みはないでしょう。
ディスク3 サードアルバム(The Velvet Underground) サードアルバムは一気にまるごと2バージョン。
CDの収録限界に挑戦の80分強収録。
まずは、90年代になるまでUSのオリジナルバージョンでしか聴くことが出来なかったルーリードによる「クローゼットミックス」と、それ以降の定番となったMGMのプロデューサーによる「ヴァルヴァレンティンミックス」そのどちらでもない、ルーリードが「クローゼットミックス」製作前に製作した「オルタネイトミックス」を収録。
このヴァージョンは極めてレアな最初期のホワイトラベルプロモ(イエローラベルとは異なります)にのみ収録されているミックスなのですが、何と今回はMGMミキサーが後年関係者のために通常ラベルの盤を使用してごく少数のみプレスしたメガレア盤からの収録。盤質の悪いUSホワイトラベル盤とは違い、オリジナルの「オルタネイトルーリードミックス」を可能な限り忠実に聴く事が出来る収録となっています。
このミックスは丁度ヴァルヴァレンティンとクローゼットミックスの中間を行く様なルーリードの試行錯誤中のミックスで大変興味深いです。
そしてもう1バージョンは、マニアの間で定評のある1971年のUKでのセカンドイシューからの特殊なミックスを収録。
このシリーズはUK SELECTと名付けられ、オリジナルマスターを時代にあわせた特殊なEQ加工しています。
しかも唯一オリジナル盤以外でクローゼットミックスを採用していながら、必死にそのクローゼット感を取ろうというEQがされておる珍妙なミックなのですが、マニアの間ではこのミックスは密かに人気があります。
それもそのはず、クローゼットバージョンとヴァルバージョンはミックスだけでなく、収録テイクすら違い、普通の「いい」音質で、クローゼットのほう(オリジナル)のテイクが聴けるというのはファンにとって快挙であり、実際に聴いてもやはりオリジナルがいいのです。
ディスク4 VU ディスク4には「アドヴァンスカセットテープ」バージョンのアルバム「VU」をまるごと収録。
このカセットテープは、発売前にやはりごく少数の関係者に配布されたのみの鬼レアなもので、収録内容、ミックス、テイク、が異なります。特筆すべきは、フォギーノーションにスターリングモリソンによるイントロダクションギターが付いていたり、実際のリリースでは収録されなかった(オーシャンに変更になりました)「フェリーボートビル」などが公式に収録されています。
曲順やミックスもラフです。オリジナルカセットからのダイレクト収録で、アルバム「VU」の別バージョンとしてまるごと楽しめる興味深い音源です。
ディスク4の追加トラックはオリジナルヴェルヴェット解散後の、こうした再発掘にまつわるレアトラックを収録しています。
まずはこの「VU」が正式に発売された1985年当初、プロモでのみリリースされた「フォギーノーション」の12"からのEditバージョンを収録。
そしてラスト4曲は、1989年にリリースされたベスト盤「ザ・ベストオフザヴェルヴェットアンダーグラウンド」から4曲収録。
これは公式ですのでオマケのようなトラックなのですが、この当時、本マスターからのマスタリングが行われたようで、何を間違ったかこの4曲中の3曲は長さが違います。しかも長い。
ビギニング、ウェイティングで10秒。ホワットゴーズオンに至っては20秒も長いです。
これはマニアは皆発売当初は驚いたものでした。
そして残り1曲はこの当時の企画として、このベストの目玉として製作された、オールトゥモローズパーティーズのダブルボーカルを再現したバージョン。
これは近年の公式モノCDにシングルバージョンが収録されましたが、このバージョンはシングルをモチーフに作り直されたリバージョンなのでそれとは異なります。
以上。あまりにもお得なCDと言えるでしょう。全ファン必携の作品と思います。
今回も初回200セットのみのボーナスCDR付き5CDバージョンで、 お値段は4CD据え置きです。
ボーナスの内容ですが、 上記ディスク3の1973年のサードアルバムリリース時に同時にリリースされた UKバージョンのセカンドアルバム「ホワイトライトホワイトヒート」のディフミックスを収録。
上記のような特殊なEQが施されており、マニアの間ではそのジョンケイルのサウンドが 強調されていることから「通称・ジョンケイルミックス」と呼ばれているものです。
初回盤はすぐなくなってしまうことが予想されますので、お早めにご予約下さい。