2009年12月にGET YER YA-YA'S OUT! DELUXE EDITION がリリースされ、
そのツアーの全貌が明らかになった衝撃は、
長年のファンには何とも感慨深いものだったが、
今度は EXILE ON MAIN ST.DELUXE EDITIONが2010年5月19日にリリースされた。
もう3ヶ月も経ってしまいホットな話題とは言いがたいがそれには訳があった。
@MAIN ST.のアウトテイクはBOOTLEGではアナログ時代から
大変多く出回っており新鮮味に欠ける。
ASUPER DELUXE EDITION と題した今回の限定ボックスセットは、
2SHD-CD+2LP+DVDで¥18000という法外な値段で売り出されたこと。
しかも通常のDELUXE EDITION はジャケットや付録など、当時のものを
一切復刻せず、SUPER DELUXE EDITIONのみで復刻。
アナログ2枚はオリジナル録音のみで、
ボーナスDVDは『COCK SUCKER BLUES』 と 『LADIES AND GENTLEMAN 』、
その後リリースされるドキュメンタリー映画『メインストリートのならず者の真実』DVD
の抜粋である。
何とも人を馬鹿にしているではないか。
つまりはプロモDVDに金を払えというわけだ。
7月28日にドキュメンタリー映画『メインストリートのならず者の真実』DVD
が決定、秋には、『LADIES AND GENTLEMAN 』をリリースするという。
(『COCK SUCKER BLUES』の場合、ノーカットなら日本の映画検閲の
問題が発生するので
少々面倒だがいずれはオフィシャル化されるだろう。)
商魂を見せ付けられる思いだ。
B今回のボーナストラックには当時のソースを使って新たにミック・ジャガーが
ヴォーカルを入れ直し、リサ・フィッシャー等がコーラスを被せて完成させた
ゼロ年代仕様が含まれる。
馬のしょんべん飲ませて金払えか、
なめ晒すか、おどりゃ、ミックジャガー、まあそう言いたくもなるよね。
そんなもん買うんなら BOOTLEG 聞いてた方がいいやってひねくれてた。
C音楽誌はこぞって好意的な評をあげ、特集を組んでいる。
新譜を紹介し情報を伝達するというマスコミの仕事はしているが、
もはやロック評論ではなく、レコード会社のふんどし担ぎであり、
男芸者でしかない、糞野郎と呼ぶしかない。
でもって無視をしてたんだけど、そりゃあファンだもん、やっぱり聞きたい。
友達の店にいきゃあ、かけるもんだから耳に入っちゃう。
聞いちゃうとそりゃあ欲しくなるという訳で、結局3ヵ月遅れで術中にはまる。
しかし腹の虫治まらず。
Bの問題に関しては、俺の意見はこうだ。
こういうやり方するなら新作でやりゃあいいと思う。
別に30年前のソース使って新しいアルバム作ったっていい訳だし、
歴史的名盤と称されるアルバムの名前を借りてせこいことするなと言いたい。
だから新しい作品はすごく魅力的なものも多いし、近年のアルバム聞いてるより
楽しいけど、それと1971年、72年のメモリアルをいっしょくたにすんなってのが
俺の感想。
ビートルズ、ジミヘンの事実上のラスト・アルバムが、21世紀に入り、
マスターテープをリミックスしたり、残っているマスター音源を追加
したりして『本来こういう形でだされるべきだった』というおせっかいな
コピーと共にリリースされたのは記憶に新しい。
BEATLES / LET IT BE NAKED
JIMI HENDRIX / FIRST RAYS OF THE THE RISING SUN
ビートルズはLET IT BE SESSION によって修復不可能な状態になり、
マスターテープはフィル・スペクターに預けられ、LET IT BE が完成した。
世界のファンはこの作品を彼等の最後の作品として受け止めた。
どうゆう状況で作られたとか、誰が不満を持っていたとか、そんなことは関係ない。
最後の作品はLET IT BE であってLET IT BE NAKED はNAKEDではない。
LET IT BE のソースを使ってポール・マッカートニーが21世紀に作った
LET IT BE の番外編にしかすぎない。
どちらを好むかは、正規テイクよりアウトテイクが好きでもいいように自由だが、
LET IT BE は1970年5月8日に全世界同時発売されたアナログ盤のことである事実は
揺るがない。
JIMI HENDRIX に至っては彼の死後最後のアルバムとしてリリースされたのが
『CRY OF LOVE』であり、
それは本人の望む形のモノではなかったかもしれないが、
いくら当時のエンジニアであるエディ・クレイマーが指揮を執り、
ジミの意向を反映させて作ったとしても
やはり『CRY OF LOVE』はジミの遺作であり、
『FIRST RAYS OF THE THE RISING SUN 』は21世紀の愚かなるおもちゃでしかない。
それがさも本当の、真のLET IT BEであり、CRY OF LOVE であるかのように扱われ、
評論家も何も言わないのはおかしいではないか?
飽くまでオリジナルの副産物にすぎないのに。
俺にとっては1971年〜1972年という時代に吸収した同時代の音楽、ロック、ポップス
と当時の日本の空気感、音楽や映画に導かれた憧憬としてのアメリカ、イギリス、
その他のジャズやブルースとの出会いがもたらした新鮮な驚き、歌謡曲に
近親憎悪しながら
日本語で歌われるオリジナリティとして
フォークや黎明期のロックバンドの音に
身を焦がした日々は、
80年代以降の欧米ロックの下地が出来上がってしまった時代には、
到底味わい知れない未知の体験の連続だった。
1971年にリリースされた主なアルバムをあげてみた。
当時は世界同時発売ではないから遅れてリリースされたものもある。
しかしそれが日本でリリースされラジオでオンエアされれば時代の音になる。
THE BYRDS / UNTITLED ALBUM
LED ZEPPELIN / V
LED ZEPPELIN / W
HUMBLE PIE / ROCK ON
JOE COCKER / MAD DOGS & THE ENGLISH MEN
DELANIE & BONNIE / TO BONNIE FROM DELANIE
BOB DYLAN / NEW MORNING
PINK FLOYD / ATOM HEART MOTHER
RINGO STARR / SECOND ALBUM
NEIL YOUNG / AFTER THE GOLD RUSH
JAMES TAYLOR / SWEET BABY JAMES (アメリカでは1970)
JAMES TAYLOR / MUD SLIDE SLIM
C.C.R / PENDULUM
DEREK AND THE DOMINOS / LYLA AND OTHER ASZSORTED LOVE SONGS
GEORGE HARRISON / ALL THINGS MUST PASS
JOHN LENNON / THE PLASTIC ONO BAND
JOHN LENNON / IMAGINE
TEN YEARS AFTER / WATT
LAURA NYRO / CHRISTMAS AND THE BEADS OF SWEET
CHICAGO / V
ELTON JOHN / 3
POCO / LIVE POCO
GRATEFUL DEAD / AMERICAN BEAUTY
THE KINKS / LOLA VERSUS POWERMAN AND THE MONEYGOROUND PART 1
FREE / HIGHWAY
FREE / LIVE
JIMI HENDRIX / CRY OF LOVE
LENARD COHEN / SONG OF LOVE AND HATE
SYD BARRETT / BARRETT
VAN MORRISON / DOMINO
THE ALLMAN BROTHERS BAND / IDOL WILD SOUTH
THE ALLMAN BROTHERS BAND / LIVE AT FILLMORE EAST
BAD FINGER / NO DICE
JANIS JOPLIN / PEARL
JOHNNY WINTER AND / LIVE!
CURVED AIR / AIR CONDITIONING
NILSON / SINGS RANDY NEWMAN
TONY JOE WHITE / TONY JOE WHITE
THE ROLLING STONES / STICKY FINGERS
CACTUS / SECOND
DAVE MASON MAMA CASS / MASON & CASS
PAUL McCARTNEY / RAM
THE DOORS / L/A/WOMAN
KING CRIMSON / IN THE WAKE OF POSEIDON
RY COODER / RY COODER
AL COOPER / VAN DYKE PARKS / SONG RECYCLE
JONI MITCHELL / BLUE
BLACK SABBATH / MASTER OF REALITY
ROD STEWART / EVERY PICTURE TELLS A STORY
DEEP PURPLE / FIREBALL
EMERSON LAKE & PALMER / TARKUS
THE WHO / WHO'S NEST
T REX / ELECTRIC WARRIOR
DAVID BOWIE / HUNKY DORY
CAROL KING / TAPESTRY
FAIRPORT CONVENTION / FULLHOUSE
YES / FRAGILE
今、全時代を通して選ばれるロックアルバム100の中のへたすれば70%が
この年にレコード屋で売り出されたものだ。
(ここにはソウルアルバムを入れていないにもかかわらずだ。)
それらはラジオで頻繁にオンエアされ俺は夢中で
聞き耳を立ててロックをポップミュージックを貪っていた事実を
わかっていただけるだろうか?
70年にビートルズが解散、ジミヘンが死に、
そして71年にはビートルズ各メンバーが揃ってソロアルバムを出し、
ジャニスが、ジムモリソンが死んだ。
ベトナム戦争真っ只中のアメリカ、
70年安保と挫折、三島由紀夫割腹自決、よど号ハイジャック
と刺激的事件の続いた1970年に比べ71年の日本は静かであったのかも知れない。
72年には赤軍と浅間山荘事件があり、沖縄が本土に返還された。
GSブーム終焉、カラーTV、カップヌードル発売、
Gパン&Tシャツ、長髪が若者のファッションに。
しかし日本人はまだまだ外国に劣等感を抱いていて今よりまじめで勤勉であった。
たとえライヴを体験しなくとも、全てを聞いていなくとも
空気を共有出来るアルバムたち。
政治や文化、音楽は密接に時代と絡み合っていた。
その空気は、音楽、ロックという先進的な音楽に顕著に表れ、
幼い子供にも敏感に響いた。
俺のEXILE ON MAIN ST.にはそんな思い出がギッシリ詰まっている。
>>EXILE ON MAIN ST.Part2に続く |